小斎直也が手書きの重要性を語る
スマートホンやパソコンが普及したことにより深刻化しつつある、文字を書かなくなる問題。
ペンを握ってゆっくり字を書く。そういう習慣がもう今の若い人にはありません。
それによって字を忘れてしまったり、一字一字の重要性が失われてきているようにも思います。
字をゆっくりと書くということは、ただ遅いだけではありません。
その字を書く間に思考は働き、その”間”に新しい発送が生まれるものです。
字の形にもしっかりと意味がありますから、字を手で書くということは、その形をなぞらえることであり、意味や思いをしっかりと”込める”ことになります。
そうすることで自然と中身が濃く、思いの深い文章が生まれていきます。
手書きにこだわるなんて、今どき効率も悪いしナンセンスと思われるかもしれませんが、字には形があり、手書きでしか生み出せない形のブレによって、伝わるものも多いのでしょう。
これは字をあまり書いてこなかった世代には、わからないことなのかもしれません。読み取ることも、そもそもできないのかもしれません。
一番良いのはやはり筆をつかってじっくりと一画一画を書いていくことでしょう。
止めやはね、払い、そして字の太さ、力加減、あらゆる要素が一字一字に染み込まれていきます。
線のちょっとした太さの違いで印象は大きく変わります、このあたりは絵と共通していることでしょう。
字には「文字」という情報以外にも実に多くを読み取ることができます。
「文字」だけでなにかを伝えることに限界を感じている昨今ですが、また手書きに戻る時代がやってくるかもしれません。